中国、サプライチェーンの安定に軸足-厳格なコロナ対策の影響緩和

4/18 (ブルームバーグ): 中国当局は新型コロナウイルス対策がもたらす悪影響を抑えるため、サプライチェーン(供給網)の安定に向けた措置を強化する。金融支援を実施する方針を表明し、一部の企業活動の再開を認める例外措置の可能性も示唆した。 肖捷国務委員が主宰し、劉鶴副首相も出席した18日の会議の声明を国営メディアが報じたところでは、中国当局は物流業界の労働環境などを改善させ、ローン返済延期など金融面の支援を従業員に提供する見通し。 コロナを徹底的に抑え込む厳格な制限措置が中国経済の重しとなっており、サプライチェーンを脅かしている。上海市のロックダウン(都市封鎖)で工場は休業を余儀なくされ、物品を運ぶトラック不足も生じている。世界最大級の上海港ではコンテナが山積みだ。物流会社のフレックスポートによれば、中国の工場で生産された製品が米国の倉庫へと届く日数は平均で約115日に達し、2019年の50日から長期化している。 国営新華社通信によると、中国政府は自動車や半導体、家電製品、食品、装置製造、医薬品などセクターならびに外国貿易の企業のリストを設け、サプライチェーンを支援する。詳細には言及しなかったが、先週後半に公表された上海での類似リストでは企業による生産再開に向けた計画の策定が認められた。 中国当局は地方政府に対し、検問での物流業者の移動制限を緩和し、他の地域で実施されたコロナ検査の結果を認めるよう呼び掛けた。 新華社によれば、中国人民銀行(中央銀行)の再貸し出しプログラムの一部からサプライチェーンの支援に向けて1兆元(約19兆8800億円)を活用し、技術革新に2000億元、交通物流に1000億元を振り向ける。 ソース:中国、サプライチェーンの安定に軸足-厳格なコロナ対策の影響緩和(Bloomberg)…

自動車の部品業界「半導体・原材料不足が悪材料…政府の支援が切実」=韓国

4/13 韓国の車部品業界が、車両用の半導体や原材料不足、ロシアのウクライナ侵攻など、相次ぐ悪材料を克服するためには、政府の政策支援が必要だと訴えた。…

歴史的な物流危機には、データの力で立ち向かう:サプライチェーンのさらなる可視化に動く企業たち

2022.04.07 新型コロナウイルスのパンデミックに続いてロシアによるウクライナ侵攻が起き、さらに中国での市中感染が広がったことで歴史的な物流危機が訪れている。サプライチェーンの再建と最適化を迫られるなか、こうした危機が発生する原因を予測したり、問題を追跡したりする技術への関心が高まっている。 サプライチェーンは大混乱に陥り、さらに状況は悪化している。 中国の経済都市である上海では、新型コロナウイルスの市中感染が急速に拡大したことから、厳格な検査体制が敷かれている。このため、上海浦東国際空港の航空貨物倉庫が大混乱に陥ってしまったのだ。上海・寧波港では、120隻以上のコンテナ船が待機している。 中国南部に位置する製造業のハブとして知られる深圳では、同じように新型コロナウイルスの感染拡大に伴う規制が導入された後、受注残と運転手不足によりトラックの輸送コストが300%も跳ね上がった。かつて規則正しく運行されていた世界の主要港は、いまや遅延に悩まされ、過去最悪の混雑でコンテナ船が何日も列をなしている。こうした事態が世界中で起きているのだ。 供給網の混乱の早期発見が急務に 中国からロシアを経由して欧州へ鉄道で向かう予定だった100万個以上のコンテナは、ロシアに対する制裁の影響を受けて海路での移動を強いられている。また、ロシアのウクライナ侵攻により、ニッケルやアルミニウム、小麦、ひまわり油といった生活必需品のサプライチェーンが断たれ、商品価格の高騰を招いた。ウクライナ産の農作物に依存している中東やアフリカの国々は、この数週間から数カ月の間に深刻な食糧不足に陥る可能性がある。 欧州の一部の自動車生産ラインでは、通常ならウクライナの工場から調達しているケーブル類が不足していることから、生産量を削減した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって商品の購入量が急増して世界のサプライチェーンに支障が生じたとすれば、ロシアのウクライナ侵攻と中国の「ゼロコロナ政策」の継続によって完全に崩壊する危険性がある。 サプライチェーンはあまりに複雑で相互に関連し合い、崩れやすい。このためパンデミックや大規模な戦争といった衝撃に耐えられる力がない。だが、現実は企業が商品を動かし続けるので、新しい戦略の採用を余儀なくされている。こうしたなか、物流の滞留や運搬機材の故障が新たな状態となり、混乱をできるだけ早く察知することがこれまで以上に重要になっている。 「以前は、まれに『ブラックスワン現象』が発生していました」と、英国のクランフィールド大学教授でサプライチェーン戦略を専門とするリチャード・ワイルディングは語る。ブラックスワン現象とは、予想が難しく起こりえないと思われていたことが急に発生した際に、非常に強い衝撃を与えるという理論だ。「いま抱えている問題は、こうした予測不能な事態が立て続けに起きていることによるものなのです」 かつてのサプライチェーンの管理には80%の予測可能な事態と、20%の予測不可能な事態に対処する必要があった。ところが、いまはこの数字が逆転しているのだと、ワイルディングは指摘する。 また、商品の流れを可視化するツールを使用する企業が増えており、潜在的な障害となるポイントを予測することも可能だという。「実質的に継続したモニタリングが必要となっています」と、ワイルディングは語る。 あらゆるものがつながっている時代において、グローバルサプライチェーンは最近まで驚くほどアナログなままだった。商品からメーカー、消費者までをつなぐ輸送ルートが乱立していたのだ。こうしたサプライチェーンは過去に管理こそできていたが、いまやサプライチェーンが常に寸断される時代となり、企業はより多くのデータを求めて躍起になっている。 ソース:歴史的な物流危機には、データの力で立ち向かう:サプライチェーンのさらなる可視化に動く企業たち…