マスク氏のxAIが3兆円調達へ、エヌビディアも支援の方向-関係者

10/8 ブルームバーグ): イーロン・マスク氏の人工知能(AI)スタートアップ、xAIが当初の計画を上回る資金調達を進めており、米半導体大手エヌビディアも支援する方向となっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。資金調達ラウンドは200億ドル(約3兆円)に上る見通しだという。 非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、今回のファイナンスには、エヌビディア製半導体を購入し、これらのチップをxAIに貸す特別目的事業体(SPV)での株式と負債が含まれている。半導体はxAI最大のデータセンター拠点「コロッサス2」で使用される。 関係者によれば、エヌビディアは株式部分に最大20億ドルを投じる見込み。顧客によるAI投資の加速を後押しするという同社の戦略の一環だ。ブルームバーグが以前報じた調達額はこの半分だったが、今回の資金調達はさらに拡大する可能性もある。 エヌビディアの担当者はコメントを控えた。xAIの広報担当者もコメント要請に応じなかった。マスク氏は9月、X(旧ツイッター)に「資本の調達は現在行っていない」と投稿していた。 特別目的事業体 この巨額の資金調達は、AI業界における新たな動きの一つに過ぎない。テクノロジー大手は、先端のAIモデル開発に必要なインフラ整備を目的に、数百億ドル規模の投資を急ピッチで進めている。今週初めには、OpenAIがアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)製の半導体を複数年にわたって使用する契約を発表した。 メタ・プラットフォームズもここ数カ月で多額の契約を複数締結しており、これには290億ドルのデータセンター向け資金調達パッケージも含まれる。オラクルもインフラ整備のため、380億ドル相当のデットパッケージで資金を調達した。 関係者によると、xAIの調達はSPVで約75億ドルの株式と最大125億ドルの負債で構成される見込み。SPVはエヌビディア製半導体を購入し、xAIがこれらのチップを5年間にわたり借りることで、投資家が資金を回収できる仕組みとなっている。このスキームは、債務の担保が企業自体ではなく画像処理半導体(GPU)である点が特徴で、テック企業が負債リスクを抑える手法の一つとして注目される可能性がある。 エヌビディア経営陣は自社の財務的な強みを生かし、業界全体にAI導入を加速させる意向を示している。9月には、コレット・クレス最高財務責任者(CFO)がゴールドマン・サックス・グループの会議で、自社株買いを実施し、可能な場合は戦略的買収も行うが、優先事項は他社のAI導入を支援するための資金活用だと述べていた。 関係者によれば、アポロ・グローバル・マネジメントが資金調達の負債部分に参加。ダイアミター・キャピタル・パートナーズも加わるという。 ダイアミターの広報担当者はコメントを控えた。アポロの担当者にもコメントを求めたが、返答がなかった。 xAIはとりわけ資金調達に積極的だ。今年に入り、株式と負債で約100億ドルを調達しているが、毎月10億ドルの流出となっていることから、さらに資金を必要としているとブルームバーグは先に報じていた。マスク氏はスペースXを含む自身の他の企業からもxAIへの投資を取り付けている。また、テスラによるxAIへの出資を巡り、株主投票が年内に行われる予定だ。 マスク氏は、AIを自動運転車や完全自律型ロボットなど、自身が構想する未来的な製品群の基盤と位置付けている。 ソース:マスク氏のxAIが3兆円調達へ、エヌビディアも支援の方向-関係者(Bloomberg)…