NVIDIA時価総額、世界初の4兆ドル突破 AI成長期待で

2025年7月9日 【シリコンバレー=清水孝輔】米エヌビディアの時価総額が9日、一時4兆ドル(約590兆円)を突破した。時価総額が4兆ドルの大台に乗った企業は世界で初めてとなる。人工知能(AI)開発に欠かせない先端半導体で独走状態が続いており、高成長の維持への期待が高まっている。 米CNBCによると9日の米株式市場でエヌビディアの株価は一時、前日終値比3%高の164ドル台をつけ、時価総額が4兆ドルを超えた。時価総額は2位の米マイクロソフトや3位の米アップルを上回り、世界で首位となっている。 9日の終値ベースでは前日比で約2%高の162ドル超で、時価総額は4兆ドルを割り込んだ。QUICK・ファクトセットによると、これまで終値の時価総額はアップルが24年12月に記録した3兆9150億ドルが上場企業として史上最大だった。エヌビディアの時価総額は9日の終値でこれを上回った。 エヌビディアの時価総額は2023年5月に1兆ドル、24年2月に2兆ドルを超えた。24年6月には史上3社目として3兆ドルを上回った。それから約1年で時価総額が1兆ドル膨らんだ。1993年の創業から約30年で世界で最も早く4兆ドルに到達した企業となった。 1月には中国のAI開発新興DeepSeek(ディープシーク)の台頭で株価が急落した。同社が高性能なAIモデルを低コストで開発したことで、必要な半導体の数量が減るという懸念が株式市場に広がった。実際にはその後もAI半導体の需要は拡大している。 エヌビディアは5月、25年5〜7月期の売上高が前年同期比50%増になるとの見通しを示した。同社が手がける高性能な半導体に対し、AI開発を競うマイクロソフトや米メタなどテクノロジー企業が巨費を投じる流れが続いている。 エヌビディアは米政府の規制を受け、主力市場の一つだった中国では先端AI半導体を販売できていない。中国向けの売り上げは縮小しているが、AI投資をけん引する米国や新興市場である中東など他国向けの需要拡大が成長を支えている。 米調査会社デローログループによると世界のデータセンターへの年間投資額は28年に1兆ドルを超える見通しだ。エヌビディアは使いやすいソフトウエア基盤で開発者を囲い込んでおり、今後もAI開発投資の恩恵を受けやすい立場にある。 AI半導体市場は競争が激しくなっている。米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが低価格な代替品を投入している。顧客である米グーグルや米アマゾン・ドット・コムはエヌビディア依存を脱しようと自前開発に乗り出している。 中国では華為技術(ファーウェイ)が独自のAI半導体を開発し、米政府の規制でエヌビディア製の先端品を入手できない同国企業に売り込んでいる。長期的には強力な競合になる可能性がある。 株式市場の評価はAI戦略の巧拙が左右している。クラウドを通じたAI提供で先行するマイクロソフトは時価総額が3.7兆ドルに達し、エヌビディアに続く「4兆ドルクラブ」入りが迫る。一方で生成AIの開発で出遅れたアップルは株価が伸び悩んでいる。 ソース:NVIDIA時価総額、世界初の4兆ドル突破 AI成長期待で…