
米が台湾に32%の相互関税、立法委員が米政策への対応見直しを要求
03 April, 2025
アメリカのトランプ大統領が「相互関税」政策として、台湾に32%の関税を課すことを明らかにしました。これはトランプ大統領が、アメリカの製品に課税したすべての国々に対してその税率の「約半分」を上乗せすると発表したためで、台湾がアメリカの製品に64%の関税を課している現状を受けてのことです。
このことに対し野党・国民党のある立法委員(国会議員)は、「アメリカが台湾に課す関税は予想をはるかに上回る」と述べ、「これは、台湾の半導体、鉄鋼、アルミニウム、銅、薬品などの分野がアメリカに投資しなければ関税を引き下げたり免除したりすることができない」と要求していることと同じだと指摘しました。また、「これは台湾の輸出産業に大きな影響を与えるものであり、さらに言えば、台湾積体電路製造(TSMC)が1000億アメリカドル(約15兆円)をアメリカに追加投資しても、依然としてトランプ大統領を満足させることができない。まさに『台湾は利益を得られないだけでなく、大損をする』ことになると言える」と述べ、アメリカ政府にトランプ政権の利益優先政策への対応を見直すよう求めました。
国民党の他の立法委員は、アメリカの政策が大きく変わり、元々の普遍的価値観重視から、現在では価格を最も重視するようになったと指摘、政府は民主主義ばかりを語り、アメリカの政策に従うのではなく現実的かつ柔軟に自国の利益を重視してこそ、台湾の国民と外交的地位に長期的な進展をもたらすことになると述べました。
さらに、「32%の関税を課すことは台湾の貿易にとって疑いのない大きな打撃だ。トランプ政権が価格で勝負し、利益を優先する構えを見せたとき、台湾とアメリカの関係は、与党が語ってきたような良好なものになるのだろうかをあらためて向き合わなければならない」と指摘しました。
一方で民進党のある立法委員は、「アメリカが採用している相互関税の計算式では、労働集約型産業の多い国ほど課される関税が多くなる」と指摘したほか、「今後台湾は中国、タイ、ベトナムに対して競争で優位に立つが、日本、韓国、フィリピン、さらにはマレーシアと比べると不利になる。個別の産業は異なる状況に置かれ、コスト面を考慮して産業のレイアウトを反転させる可能性もあると考える」と述べました。
もう一人の民進党の立法委員は「政府はトランプ大統領の選挙前から選挙後まですべての関税政策を十分に把握し、綿密に審議してきた」としながらも、国家の安全保障に関する機関に対し、台湾の最大限の権益を守り、産業の発展を保障するため、アメリカとの意思疎通強化を加速させるよう求めました。
また、民進党立法院党団の吳思瑤・幹事長は、「アメリカの関税政策は各国が直面する深刻な試練だ」として、「台湾は今こそ党派を超えて台湾への支持を広げるべき時だ。与野党が政府の対応を信頼し、一致団結してこの試練に立ち向かってほしい」と呼びかけました。
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