アップルがどう呼ぼうと、「Apple Intelligence 」が強力なAIであることは変わらない
2024.06.19
グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの企業が人工知能(AI)への取り組みを公表するなかで、アップルは長い間、沈黙を守ってきた。そんな同社の幹部たちが、ついに語り始めた。ある日、わたしは事前に製品を見せてもらえる機会を得た。アップルのソフトウェア開発のリーダーであるクレイグ・フェデリギ、サービス部門を取り仕切るエディ・キュー、そして主要な研究者たち。彼らは、アップルは長年にわたりAIを牽引する存在だったが、それを大々的にアピールしてこなかっただけだと主張した。技術革新の重要な時期に、最も革新的な大手テック企業として、後れを取っている印象を払拭しようとしてのことだ。
アップルらしいやり方を実現する技術
高度な機械学習技術はいくつかの製品にすでに深く組み込まれており、Siriの進化を含め、さらなる機能の発展を期待できるという。また、アップルは競合他社よりもデータの安全性を重視しており、同社のAIの取り組みにおける厳しいプライバシー基準が他社製品との大きな違いだ。
アップルでAI開発に取り組んでいる人数を質問したところ、「たくさんいます」とフェデリギは答えた。AIは変革的な技術になる可能性がある一方で、アップルは「超知能」の実現を含む、一部の人たちが興奮している要素とは関わりたくないと、別の役員は強調していた。「突き詰めると、非常にアップルらしいやり方を実現するための技術なのです」とある役員は話す。
この会話は、AIの技術のなかでもディープラーニングが話題になっていた8年前に交わしたものだ。その1年後、「トランスフォーマー」と呼ばれる画期的な技術が登場した。そして、OpenAIの画期的なChatGPTにも使われた、知能の高いソフトウェアである「生成AI」の新たな波が押し寄せることになった。これ以降テック企業は瞬く間に、このトレンドにどれだけ積極的に関わっているかという点で評価されるようになったのだ。
OpenAIの競合他社は素早く反応したものの、アップルはそうでもなかった。同社の優秀なAI科学者たちの多くは自律走行車や高価な複合現実(MR)ヘッドセットである「Vision…