アップルの巨額「1000億ドルのアメリカ追加投資」の真実、そして「意味しないもの」とは何か(海外)
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アップルはアメリカの施設への投資に対し、さらに1000億ドルを費やす予定です これは、アップルが今年初めに宣言した5000億ドルの約束に、追加される投資です 多額でしょうか? ある意味では。では、アメリカでiPhoneを製造するための動きか?いえ、全くそうではありません 8月6日午後のホワイトハウスでのイベントで、アップルCEOのティム・クック氏はアメリカの製造業に1000億ドル(約14兆6000億円)を投資する計画を発表しました。 これは実際に資金を投入する本当の計画なのでしょうか? ドナルド・トランプの国内回帰政策に公的な勝利を与えるための演出なのでしょうか? それとも、同社に大きな痛手になりかねないトランプ関税を回避するためのアップルなりの手法? ええ、そうです。
背景: 2月、アップルは今後4年間で5000億ドル(約73兆4000億円)を投資し、2万人のアメリカの従業員を雇用すると公表しました。 今、アップルはさらに、1000億ドル(約14兆円)を追加しようとしています。 アップルは、ホワイトハウスのイベントでその投資の一部をどのように使うかを詳しく説明しました。これには、iPhoneとApple Watch用のガラスを製造しているケンタッキー州にあるコーニング社の工場拡大のための25億ドル(約3600億円)の投資が含まれています。アップルは、この作業により最終的に世界中で販売されるすべてのデバイスに「アメリカ製のガラスが使用される」と話しています(ただし、その作業のどれだけがすでにアメリカで行われているかは明記せず)。 しかし、アップルがこのような約束を発表するのは今回が初めてではありません。2021年── ジョー・バイデン氏が大統領だった時 ── 同社は5年間で4300億ドルをアメリカに投資し、2万人の従業員を雇用する計画を発表しました。 これらの計画の一部は、ノースカロライナ州の新しい「エンジニアリングハブ」のような新規建設を含んでいました。その他は、既存施設の拡張や、オースティンの10億ドルのキャンパスのような、すでに進行中の建設を含んでいました。 ブルームバーグが指摘するように、今年2月のアップルの発表は実際には以前の計画の加速にすぎませんでした。これは、アップルが年間390億ドルを追加支出し、年間1000人の雇用計画を増やすプランがあることを意味していました。 同じ論理を使えば、アップルの水曜日の発表は、同社が以前の計画よりもさらに年間250億ドルを支出する計画であることを意味します(追加の雇用についてはまだ言及されていませんが、アップルはコーニング社との提携によって、コーニングの従業員が50%増加すると述べています。) つまり、これは確実に「追加の支出」です。
アップルはアメリカでiPhoneを製造するのか
トランプ氏が要求したように、これはアップルがアメリカでiPhoneの製造を開始することを意味するのでしょうか? いいえ。以前にも議論したように、アップルがアメリカでiPhoneを製造するために必要なサプライチェーンを再現することは、ほぼ不可能に近いように思えます。そしてアップルが例え望んだとしても、数年で成し遂げられるものでないことも確かです。 ティム・クックCEOは記者会見でその質問を直接聞かれましたが、答える準備もしていました。 「その中にはアメリカ産の材料がたくさんある」と彼は主張し、ガラスの取引や少なくとも部分的にアメリカで製造されている他の要素に言及しました。 しかし、実際にそれらを組み立てることに関しては、クック氏が何年もの月日と何十億ドルもの投資をかけて監督してきた、複雑なサプライチェーンが欠かせません。「それ(組み立て)はしばらくの間、他の場所で行われるだろう」と彼は話しました。 それでも、世界で最も価値のある企業の1つのCEOがアメリカに投資すると言っている間、トランプ氏がその隣に立っているということは、イベント中、終始笑顔だった大統領にとって間違いなく価値があることでした。 トランプ氏は、アメリカでの「トランプ主導の支出に関する発表」に関しても“柔軟”でした。彼の最初の任期中にクックの隣に立ち、アップルが彼の要請でテキサスに新しい工場を開設したと発表したときのように。これも真実ではありませんでした。
ソース:アップルの巨額「1000億ドルのアメリカ追加投資」の真実、そして「意味しないもの」とは何か(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN) – Yahoo!ニュース